気体不透過性のゴムはブチルゴムか?

気体不透過性のよいゴムと言えば、タイヤのインナーライナーに実績のあるブチルゴムがまず挙げられる。はたしてブチルゴムと他のゴムとではどの程度の気体不透過性の違いがあるのであろうか? ここに各ゴムを比較した気体不透過性のデータを掲載します。

気体媒体 空気 窒素ガス 炭酸ガス
温度 60度 80度 60度 80度 60度 80度
NBR(低ニトリル) 140 90 750
NBR(中低ニトリル) 75 210 40 70 580 970
NBR(中高ニトリル) 35 55 20 55 560 630
NBR(高ニトリル) 25 55 10 25 300 480
天然ゴム 250 400 180 330 1600 2100
SBR 150 260 110 200 1200 1500
CR 70 120 45 80 580 760
ウレタンゴム 25 70 25 55 260 730
ブチルゴム 20 50 15 35 130 290
CSM 45 70 30 50 450 450
シリコーンゴム 3300 4100 2800 3600 9500 15000
EPDM 200 350
*ドイツDIN53536に準ずる 
*単位:x10−8cm2s−1MPaー1(数字fが高い程、気体が透過する)
*−部分はデータなし

気体媒体によって不透過性は大きく異なり、また温度依存性も大きい。昨今、タイヤの空気圧を一定に保持するために、空気の代わりに窒素ガスをタイヤに注入するサービスがあるが、上記の通り、空気に比べ不透過性がよくなる理由からである。シリコーンゴムは逆に極めて気体を透過させるゴムである。この特性も別の意味で利用価値があるだろう。 驚いたことにブチルゴムに比較し、NBRがほぼ同じ不透過性を示している。そこでHNBRも含め下記により詳細な資料を提示します。

透過率(m2・s Pa)10x17  (DIN53536に準じる。)
気体媒体 空気 窒素 二酸化炭素 メタン
温度 30度 70度 90度 30度 70度 90度 40度 70度 90度 90度
NBR(中高二トリル) 0.3 3.7 8.0 0.2 3.0 6.3 13 38 59 13
HNBR(中高ニトリル) 0.6 3.9 8.3 0.3 2.8 6.6 14 41 62 17
ブチルゴム 0.2 2.5 6.4 0.2 1.6 5.9

中高ニトリルでは、ブチルゴムが耐空気、耐窒素不透過性ではやや優れています。この資料および前述のデ−タより高二トリルのNBR(もしくはHNBR)はブチルゴムに匹敵する不透過性を持つことが推察されます。

気体不透過性だけでなく、物理強度や耐熱性、接着性等の他の物性も加味して材料を選択するため、ひとつの参考資料にしていただきたい。